空腹の向こう側へ|インターミッテント・ファスティングの方法と効果

空腹の向こう側へ|インターミッテント・ファスティングの方法と効果

インターミッテント・ファスティング(IF)

インターミッテント・ファスティング(Intermittent fasting; IF)は、世界的に有名なダイエット法です。

ファスティング(断食)には、丸一日、24時間、水分摂取のみで過ごすハードなものがあります。

それに対して、インターミッテント・ファスティングは、食事をするタイミングを工夫したライトな断食です。

色々な方法がありますが、比較的簡単でよく研究されているのは以下の2つです。

・食事の時間を1日の8−10時間に限定する「16:8ダイエット」

・週に2回、24時間断食する「5:2ダイエット」

「16:8ダイエット」は比較的ハードルが低いと思います。

原則は「8時間の間に食べて、次の16時間は食べない」ですが、仮に8時間寝るとすれば、食事をしない時間は8時間だからです。

このダイエット法で重要なのは、カロリー制限するわけではなく、食事をする「時間・タイミング」に重点を置いているところがキモです。

IFの効果

インターミッテント・ファスティングの効果については、主に以下の5つの項目が知られています。

(1)体重減少:ある試験では10ヶ月で5%体重が減少しています(後述)。

(2)成長ホルモン:成長ホルモンの分泌が5倍になります。脂肪減少・筋肉量の増加と関連します。

(3)寿命の延長に関する遺伝子の発現

(4)レプチン感受性が向上

(5)インスリン感受性が改善

インスリン感受性が低いと、血糖値を正常値に保つための必要なインスリン量が増えます。

インスリンは、身体に栄養を蓄える機能があるので、インスリンの量が多い状態が続くことは、太りやすいことを意味します。

インターミッテント・ファスティングによって、インスリン感受性が高まることで、(少なくとも実施中は)太りにくくなる可能性があります。

関連記事:【認知症】アルツハイマーの原因と対策。認知症の脳はエネルギー不足(インスリン抵抗性に関する記事です。)

レプチンとは?

レプチン(leptin)は、脂肪細胞で作られる、肥満を抑制するホルモンです。

レプチンと言う名前はギリシャ語の「痩せる(leptos)」に由来しています。

主に以下の2点を通じて、肥満を抑制する働きをしています。

・満腹中枢に作用して食欲を抑える。

・脂肪を燃やし、エネルギーの消費を促す。

インターミッテント・ファスティングによって、レプチンの感受性が高まる(=太り難くなる)ことがわかっています。

IFの限界

インターミッテント・ファスティングは「従来のダイエットよりも効率的に減量できる」という意見もあります。

しかし、相反する結果も公表されています。

ある調査では、150人の被験者を以下の3つのグループに分けて、約10ヶ月間追跡しています。

※被験者はBMI25以上(肥満)の35-65歳の男女。

条件は以下の3点です。

・「5:2ダイエット」:5日間は摂取カロリー制限なし。2日間は摂取カロリーを必要量の75%に制限。トータルでカロリー摂取は20%削減。

・20%のカロリー制限(トータルのカロリー摂取を20%削減。「5:2ダイエットと同じ」)

・カロリー制限なし

結果的に「5:2ダイエット」と20%のカロリー制限のグループとでは、体重の減少率は変わりませんでした(それぞれ5.2%、4.9%減)。

IFのメリット・向いている人

厳密なカロリー計算は不要

特に「16:8ダイエット」は、食べるタイミングさえ気にすれば良く、カロリー計算が不要です。

つまりカロリー計算が面倒な方に向いています。

食事のための時間が省ける(1日3食食べない場合)

食事には案外時間を使っています。トータルで1食30分~1時間かかるとすると、3食食べれば3時間です。

もし、食事を摂る8時間の間に1食減れば、その分食事に使う時間を他の用事に活用できます。

忙しい方に向いているかもしれません。

満腹中枢の正常化

肥満の方では、満腹を感じるために重要なホルモンであるレプチンが正常に働いていません。

そのため、必要なエネルギーを摂取しても、満腹感を感じにくくなっています。

そのため、必要以上にエネルギーを摂取してしまい体重が増えます。

しかし、間欠的ファスティングは、レプチンの働きを正常化します。

つまり、同じくらいの体格の人と比べて多く食べてしまう方に向いています。

インスリン感受性の正常化

インスリン感受性が低い=インスリン抵抗性が高いと、血糖値を正常値に保つためのインスリンが効きにくくなります。

インスリンが効きにくい状態が続くと、血糖値が高くなり、最終的に糖尿病になります。

糖尿病には、色々な原因があるので、一括りにはできませんが、肥満があり、糖尿病になりそうな方には向いている方法です。

(糖尿病になってしまったらIFではなく、主治医の先生が勧める食事療法が優先です。)

アンチエイジング

マウスやサルでは、IFをすることでアンチエイジングの効果が見られています(Zhu et al, 2013)。

巷には様々なアンチエイジングの方法があります。

しかし、「健康なヒト」に対して有効性が確立した研究を見たことがありません。

さらに、仮にヒトに対する有効性があると結論づけられたとしても、個人に対して長期的にアンチエイジングの効果があったかどうかは、双子研究でもしない限りわかりません。

つまり、アンチエイジングは、どこまでいっても「自己満足」なので、「アンチエイジングを期待できるものは試してみる」と言うスタンスはアリだと思います。

と言うわけで、アンチエイジングに興味がある方にも試してみる価値があるかもしれません。

外部リンク:<プレスリリース>高濃度水素水が血管老化を防ぐことを発見|東京都健康長寿医療センター研究所(マウス)

外部リンク:水素水|疑似科学とされるものの科学性評定サイト|明治大学

はじめ方・やめるタイミング

はじめ方

いつ食べるのかを知る・決める

まずは、普段食事をしている時間を把握して、いつからいつまでが食べる時間なのかを決めます。

例えば、朝食は7時、昼食は12時、夕食は19時の5時間間隔の場合には、食事をしている時間は、7時から19時までの12時間です。

この時間から、前後どちらかを4時間削ります。

ちなみに「朝食は食べたほうが健康に良いのかどうなのか」と言う議論があります。

最新の研究(メタ解析)では「朝食は取らないほうが体重は0.44kg少ない」と言う結果でした(Sievert, 2019)。

そのため、少なくとも「痩せるためにはきちんと3食食べなければいけない」と心配する必要はありません。

食べない時間に摂取するもの

水分は取らなければいけません。

糖質・脂質・タンパク質としてエネルギーを含んでいるものには、例えば清涼飲料水や牛乳などがあります。

これらを外しておけば問題ないと思います。

関連記事:【ダイエット】水・白湯(さゆ)でスポーツドリンクよりも代謝が2倍アップ

やめるタイミング

このダイエット方法のゴールは「特に意識しなくても、規則的に食事を摂り、体重もコントロールできている」ことだと思います。

間欠的ダイエットが、自分のスタイルとして確立できれば、ある意味で一区切りだと思います。

そして、自分自身の体調に気を配り、少しでも違和感を感じたら、それまで続けていたとしても、やめることは大事です。

これは、IFをしていなくても重要なことです。

絶対的な健康方法はなく、間欠的ダイエットも、自分にあった健康方法を見つける上での1つの選択肢です。

引用

German Cancer Research Center (Deutsches Krebsforschungszentrum, DKFZ). (2018, November 26). Intermittent fasting: No advantage over conventional weight loss diets. ScienceDaily. Retrieved March 20, 2019 from www.sciencedaily.com/releases/2018/11/181126115842.htm

Sievert K, Hussain SM, Page MJ, Wang Y, Hughes HJ, Malek M, Cicuttini FM. (2019). Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. (Impact Factor 2.413)

Zhu, Y., Yan, Y., Gius, D. R., & Vassilopoulos, A. (2013). Metabolic regulation of Sirtuins upon fasting and the implication for cancer. Current opinion in oncology, 25(6), 630-6. (Impact Factor 3.653)