腸内細菌|魚を食べると腸内のビフィズス菌の割合が増えて炎症が減る

腸内細菌|魚を食べると腸内のビフィズス菌の割合が増えて炎症が減る

魚は腸に良い?

近年の遺伝子解析の技術革新に伴って、腸内細菌の研究は盛んになっています。

例えば、腸内細菌の論文は、2007年には100報程度でしたが、2016年には3,000報にまで増えていると言われています(Constantini, 2017)。

今回は、DHA・EPAなどの魚に含まれる油が、腸内細菌にどのような影響を与えるのか調べました。

メジャーな腸内細菌は限られている

腸内には無数に細菌がいて、その種類も様々ですが、ある程度共通しています。

以下のリストは、成人で共有している細菌の種類です。

※分類:門→綱→目→科→属→種

バクテロイデス門(Bacteroidetes)←重要

  • バクテロイデス属(Bacteroides)
  • プレボテラ属(Prevotella)

フィルミクテス門(Firmicutes)←重要

  • ラクトバシラス属(Lactobacillus)
  • クロストリジウム属(Clostridium)
  • レンサ球菌属(Streptococcus)
  • ルミノコッカス属(Ruminococcus)

※ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)…フィルミクテス門の下位分類です

放線菌門(Actinomycetes)

  • ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)

プロテオバクテリア門

  • エシェリキア属(Escherichia)

腸内細菌の構成は生活習慣などによって変わる

ベジタリアンがお肉を5日間食べると、プレボテラ属(Prevotella)という種類の細菌が減ります。

そして、そのほかにも腸内細菌に影響のある要因は沢山あります。

人にとって重要なオメガ3不飽和脂肪酸(PUFA)には、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があります。

(オメガ3不飽和脂肪酸と呼ぶのが正確ですが、読みにくいので本記事では”フィッシュオイル”と表記しています。)

これらの脂肪酸は、必須脂肪酸であるα-リノレン酸から体内で合成されますが、食事から摂ったほうが効率的です。

このフィッシュオイルは、炎症反応と関係していて、下記の疾患に対して健康上のメリットがあることがわかっています。

  • 心血管疾患
  • 関節リウマチ
  • 炎症性腸疾患(IBD)
  • うつ
  • がん

関連記事:【フィッシュオイル】魚油の摂取でメンタルヘルス・心血管疾患・腸内細菌への良い影響が期待できる

フィッシュオイルは腸内細菌をどう変える?

フィッシュオイルは、腸内細菌の構成を変えることがわかっています。

具体的には、以下の変化があります。

  • フィルミクテス/バクテロイデス比(Firmicutes/Bacteroidetes ratio)が正常範囲内に調整される。
  • ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)の細菌が増える。

この2つの腸内細菌の変化により、抗炎症作用のある短鎖脂肪酸の産生が増えます。

他にもいくつか腸内細菌に影響があります。

  • ビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)の細菌が増え、腸内細菌科(Enterobacteria)の細菌が減る。
  • 潰瘍性大腸炎の改善と関係がある「アッカーマンシア・ムシニフィラ」が分類されるAkkermansiaceae属の細菌が増える。

ビフィドバクテリウム属の細菌が増え、腸内細菌科の細菌が減ることも、炎症を抑える働きがあります。

関連記事:【潰瘍性大腸炎】便移植は実施した人の15-25%に効果がある

フィルミクテス/バクテロイデス比

日本人の肥満とそうでない人の腸内細菌を調べた研究では、肥満の人のバクテロイデス門の細菌数は有意に少なく、この割合が高いことがわかっています(Kasai, 2015)。

(ちなみにウクライナ人での研究でも、BMIが高いほどバクテロイデス門の細菌の割合が低い傾向がありました。)

この割合が高いとどんな不都合があるかというと、以下のような症状との関わりが調べられています。

  • 体重増加・肥満
  • インスリン抵抗性
  • 炎症性腸疾患
  • 腸管の透過性が上昇(バリア機能が低下した状態)
  • うつ

ビフィドバクテリウム属が減ると炎症が起きる

ビフィドバクテリウムは、リポ多糖を生み出す腸内細菌科の細菌の数を減らす働きがあります。

そのため、ビフィドバクテリウムが減ると、リポ多糖の産生が増え、腸管での炎症が起こります。

腸管での炎症反応は、以下の病態の変化に関わっています。

  • インスリン抵抗性
  • 腸管の透過性が上昇(バリア機能が低下した状態)
  • うつ

リポ多糖(リポたとう、英: Lipopolysaccharide, LPS)は、グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であり、脂質及び多糖から構成される物質(糖脂質)である。LPSは内毒素(エンドトキシン、英: Endotoxin)であり、ヒトや動物など他の生物の細胞に作用すると、多彩な生物活性を発現する。

Wikipedia

引用

Costantini L, Molinari R, Farinon B, Merendino N. (2017). Impact of Omega-3 Fatty Acids on the Gut Microbiota. Int J Mol Sci (Impact Factor 3.687).

Chika Kasai, Kazushi Sugimoto, Isao Moritani, Junichiro Tanaka, Yumi Oya, Hidekazu Inoue, Masahiko Tameda, Katsuya Shiraki, Masaaki Ito, Yoshiyuki Takei, and Kojiro Takase. (2015). Comparison of the gut microbiota composition between obese and non-obese individuals in a Japanese population, as analyzed by terminal restriction fragment length polymorphism and next-generation sequencing. BMC Gastroenterol (2.731).