がん予防|がん細胞の発生を減らし免疫を正常に機能させることが王道

がん予防|がん細胞の発生を減らし免疫を正常に機能させることが王道

がんの治療法について考える理由

がんの生存率が向上している

今日のがん治療は、薬物治療を含めた治療法が発達しています。

がんを患っても、がんの罹患に“気づくタイミング”や、“がんの種類や程度”によっては、治療をして“再発せずに寿命を全う”される方もいる時代です。

例えば、イギリスの統計では、がんの診断を受けたひとの50%が、10年以上生存しています。

さらに、この数字は40年間で2倍に伸びています。

なお、このデータは、すべてのがんの種類についてひとまとめにしているので、がんの種類によっては10年後の生存率に、1−98%まで幅があります(Cancer survival statistics, Cancer Reserch UK)。

がん治療の歴史

“がんの治療”について考えるうえで、今回は情報源として、米国NIHのNational Cancer Instituteがまとめている“がんの研究の時系列”を引用しました(Milestones in Cancer Research and Discovery, National Cnacer Institute, NIH)。

10年前、私が薬剤師の資格を取る頃の治療薬は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にもダメージを与えるものが主流でした。

例えば、1903年から治療に応用されている放射線や、1949年に認可されたナイトロジェンマスタード等が分類されるアルキル化剤などです(アルキル化剤に関する記載の詳細:薬物療法 国立がん研究センター がん情報サービス)。

しかし、この20−30年の間にがんの研究が進み、“がん細胞だけが持つ特徴を分子レベルでとらえられるようになりました”。

例えば、1984年には乳癌、胃癌等に関連する“HER2遺伝子”が発見され、15年後の1998年から、“HER2遺伝子を持っているがん細胞”に効果を発揮するトラスツズマブが治療に使われています。

なお、がん細胞に対して特異的に効果を発揮する薬の強みは、正常な細胞に対して害がない/少ないことですが、その反面、用途が限られることです。

例えば、トラスツズマブの添付文書(薬の説明書)の“効能又は効果”の項目として、“HER2過剰発現が確認された乳癌、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌”と記されています(ハーセプチン注射用60/ハーセプチン注射用150)。

これは、上記の“乳癌”と“胃癌”に関して臨床試験をして、有効性と安全性を鑑みて国が薬の製造販売を承認しているためで、基本的にはそれ以外の用途でこの薬が使われることはありません。

ちなみに“がん”と“癌”の使い分けは、“がん”がすべての悪性腫瘍を指すのに対して、“癌”は“身体の外と接している細胞”に由来する癌を指します(「癌」と「がん」の違い, がんの用語辞典)。

本庶佑・京都大特別教授のノーベル生理学・医学賞受賞で話題になった”免疫チェックポイント阻害薬“は”がん細胞“が共通して持つ特徴に対して効果があるので、複数の種類のがんに効果があります。

このタイプの薬の効果については“体内の免疫の活性化を持続する方法”と紹介されています。

がん細胞は、体内の免疫にブレーキをかけることができますが、この薬はその“ブレーキがかかるのを防ぐ”働きがあります(免疫療法 もっと詳しく知りたい方へ,国立がん研究センター がん情報サービス)。

免疫チェックポイント阻害薬として一番最初に発売された薬は、現時点では8種類のがんに対して使用できますが、追加の14種類のがんについても使用できるようにするために臨床試験が進んでいます(【UPDATE】5陣営がしのぎを削る免疫チェックポイント阻害薬、最新の国内開発状況まとめ, AnswersNews)。

最近では、がんの治療法の選択肢の幅が急速に広がっています。

問題は、そのスピードがとても早いことで、がん医療に関わるすべての医療者がこの変化に付いて行けているわけではありません。

新しい治療の選択肢を知らないことが、命に関わるほど重要だと考えているので、今後は、各がんの種類について、最新の選択肢を調べ、学びを深めて行きます。

“がん”とうまく付き合うための選択肢

毎日5000個のがん細胞が産まれては消えている

がんに罹っていない場合には、がんと“付き合っていく”という表現に違和感があるかもしれません。しかし、健康なひとの身体でも、がん細胞は1日に5000個もできています(がんって何?, 東京都福祉保健所)。

そして、前述の免疫細胞が、5000個のがん細胞を死滅させています。

もし“免疫細胞が死滅し損ねたがん細胞”が1つでもあり、その後も免疫細胞がそれを死滅させられなかった場合に、がん細胞は2個、2個が4個と、時間をかけて増えていきます。

がんは予防できる?

国立がん研究センターの”がん情報サービス“で、がんの3つの特徴が紹介されています

(1) 誰でもなる可能性がある

(2) 予防はできるけれど完全には防げない

(3) 感染する病気ではない

知っておきたいがんの基礎知識,国立がん研究センター がん情報サービス

“誰でもなる可能性がある”というのは、例えば、老化にともなって免疫力が低下すれば、“免疫細胞が、がん細胞を死滅させ損ねる可能性”が高くなります。

“予防ができる”というのは、免疫力を高く保てば、“がん細胞を死滅させ損なう可能性が低く抑えられる“という意味です。

がんのリスクを減らすための方法

Forbes誌のある記事で、”がんのリスクを減らすための5つの方法“が紹介されていました。

(1) 検診を受ける

(2) タバコを吸わない

(3) 健康的な食事をとり健康的な体重を維持する

(4) ワクチン摂取する

(5) 太陽光線に気をつける

Does Leading A Healthy Lifestyle Really Prevent Cancer, Frobes

これらの選択肢について、簡潔に要約してみます。

まず、検診を受ければ、大きくなったがん細胞を早い段階でみつけられます。

早い段階のがんほど、治療の選択肢も多く、高い効果が見込めます。

2つめは、いうまでもないですが、(紙巻き)タバコを吸えばがんになりやすくなることがわかっています。

肺癌のリスクは、喫煙者では禁煙者にくらべて、男性で23倍、女性で13倍です。

ちなみに、電子タバコでのリスクは、今回は調べていません(おそらくまだ十分なデータがありません)。

3つめは、肥満が関係しています。

肥満によって、13種類のがんのリスクが高まることがわかっています。

その他にも、“食塩と胃癌”、“野菜・果物と食道癌、胃癌、肺癌”、“熱い飲み物や食べ物と食道がん”についても別の情報源でみつけました(科学的根拠に基づくがん予防,国立がん研究センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html)。

4つめは、ある種のウイルス(HPV, HBV)が、細胞のがん化に関わっているため、ワクチンを接種することで、そのリスクを抑えることができます。

5つめの太陽光線ですが、紫外線は皮膚癌のリスクを高めます。

日光に長時間あたることが、がんのリスクを高めることを知っていれば、例えば”海水浴に行った後に、免疫力を下げる行動を控える“等の対策ができます。